安田瓦は新潟県阿賀野市で地域ブランドの認定を受けた伝統瓦です。
天然の褐鉄鉱や赤鉄鉱の生釉を施釉し、1200度で還元をかけ焼成します。瓦は光沢のある銀鼠色を帯び、鉄色瓦の異称で親しまれております。 江戸時代後期の「越前瓦」の流れをくむ瓦で、幕末には商品化が始まり、明治期に入り需要が拡大し、今日に至りました。
安田瓦は耐寒性、耐圧性に優れ、積雪寒冷地仕様の瓦として全国に知られています。
越後に名瓦あり。
良質な粘土に恵まれた安田瓦の地で天保年間(1830)から生産されたと伝えられ、その技術は匠から匠へ受け継がれ、明治・大正・昭和と時代に返遷を経て機械化し今、最新鋭設備とともに全国屈指の高品質な瓦ブランドととして高い評価を受けています。
特徴は曲げ強度が強く吸水率が低いので耐雪や凍害、暴風や塩害など日本海側特有の気象条件に適した抜群の強度、防水性を誇っています。
本来の風格ある鉄色に加え、近年はモダンな現代建築に映える新たな赤色瓦や施工法も工夫し、時代のニーズに合わせ普及をはかっています。
日本の瓦職人が江戸時代に考案した和瓦=浅瓦は明治期になって全国に普及しました。粘土や燃料などの資源が確保でき、陸路や水運に恵まれた所には粘土瓦が形成され、各地方の気候風土によって様々な工夫が加えられ、それぞれ独自の販路を拡大し、発展しました。
- いぶし瓦
- 釉薬を用いず焼成の最後段階で燻(くん)化(蒸し焼き)し、炭素の被膜をつくった瓦。
- 無釉
- 釉薬を用いず素焼きのまま仕上ます。粘土の段階で金属酸化物を混合したり、焼ムラを利用した窯変瓦をつくる。
- 釉薬瓦
- 生地形成・乾燥後、ガラス質の釉薬(うわ薬))を施して焼く製法。陶器瓦ともいいます。
釉薬の替わりに焼成の最終段階で食塩を投入して焼く「塩焼瓦」や当地の「安田瓦」のように生釉を用いて酸化焼成から還元焼成まで時間をかけて焼成する「還元瓦」も釉薬瓦の一種です。
日本海側の東北・上信越・北陸などの積雪寒冷地では、冷害防止のため高温焼成で強度をあげ、吸水率を低くおさえる工夫が施され、釉薬の両面がけや還元瓦が多く用いられています。
一方、比較的温暖な太平洋の関東・東海・近畿地方では、いぶし瓦のデリケートな照りや冴えを表現する磨き技術やシャープな形成が重視され、台風や局地風に悩まされてきました。
四国・九州地方では重なりの枚数を多くする為に瓦の切り込みを深くして葺き、工法も改良するなど独特な工夫が図られています。